自分史レポート|こちら制作室
「自分史をまとめたい」と思い立つ瞬間には、不思議な高揚感があります。
ただ、実際に原稿用紙を前にすると、思い出があふれすぎて何から手をつけてよいか分からない……。そんな声を耳にするのは日常茶飯事です。
代筆サービスはその混乱を整理してくれる頼もしい存在ですが、ちょっとした準備をするだけで完成度は大きく跳ね上がります。
ここでは、現場の取材ライターが見てきた「準備上手な人」が共通してやっている5つのことをご紹介します。読みながら「これなら自分にもできる」と感じていただけるはずです。
代筆ライターは白紙から物語を紡げますが、ちょっとした資料があると味わいが何倍にもなります。
古いアルバムや賞状、旅先の入場券など。実際に「この紙切れ一枚から一章が生まれた」というケースもありました。
ある方は、押し入れから出てきた黄ばんだ航空券を差し出しました。ライターが「これはいつの?」と尋ねると、「初めて海外に行ったときだよ」と話が広がり、結果的に丸ごと一章を占めるエピソードになったのです。
ポイントは、きれいに整理することではありません。「思い出の扉を開く鍵」を集めること。それだけで十分です。
「生まれてから全部」を一冊にまとめようとすると、どうしても散漫になります。
おすすめは、ひとつのテーマを柱に据えること。例えば「会社を育てた30年」「趣味とともに歩んだ人生」「家族への感謝」など。
ある社長は最初「売上の推移をまとめたい」と言っていましたが、取材が進むにつれ「本当に伝えたいのは社員との関わりだ」と気づきました。結果、読み手が涙する「人と人の物語」が生まれました。
テーマを一つ決めることは、文章に背骨を通すこと。迷ったときに立ち返る軸になります。
余談ですが、ライターがよく聞く言葉に「話があちこちに飛んでしまうから心配」というものがあります。大丈夫です。テーマが一つあるだけで、多少の脱線はすべて彩りになります。むしろ、その「寄り道」が読み物としての魅力になるのです。
「誰に読んでほしいか」を決めることは、自分史を「ただの記録」から「心に届く物語」に変える最短ルートです。
あるおじいさまは「孫に読ませたい」と明言しました。その結果、むずかしい言葉を避け、写真を多く入れた温かい仕上がりになりました。孫が目を輝かせながらページをめくる姿を見て「やってよかった」と喜ばれていました。
一方で、同じ自分史でも「業界の後輩に残したい」という方は専門用語をあえて盛り込みました。読む人が限定されても、対象を意識した文章は説得力が違います。
想定読者を意識すると、ライターも筆を迷わせません。誰に話しかけるかを決めるだけで、声のトーンが変わるのです。
「いくらかかるんだろう?」——これもよく聞かれる質問です。実際、費用は文章量や構成、製本の有無で大きく変わります。
ただ、あらかじめ「だいたいこのくらいの厚みが欲しい」とイメージしておくと、打ち合わせがスムーズになります。
ある方は「新聞の特集記事くらいの厚さでいい」と言っていましたが、実際に完成したのは100枚を超える立派な冊子。それでも「ちょうどよかった」と満足されていました。つまり、最初から正確な答えを出す必要はありません。「理想の形」をぼんやり描くだけで十分なのです。
ちなみに予算の話になると、皆さんなぜか少し緊張されます。でも、ライターにとってはごく自然なやりとり。レストランで「メニューの値段を先に見てから注文する」のと同じことです。気軽に相談して大丈夫です。
自分史代筆の要は取材です。ライターが質問を投げかけ、それに答えるうちに、忘れていた記憶がふっと蘇る瞬間があります。
とはいえ、準備をゼロにするよりは、少しだけ整理しておくと安心です。おすすめは「思い出メモ」。
「小学校の運動会」「初任給で買った腕時計」「結婚式でのハプニング」……思いついたことを箇条書きにしておくだけ。
ある方は「昔、近所の駄菓子屋で万引きを叱られた」という話を出しました。取材が盛り上がり、その小さなエピソードが一章を飾る大切な記録になりました。思わぬ笑い話や赤面エピソードこそ、後世の読み手の心を掴むのです。
自分史づくりは「書き始めてから」ではなく、「準備を始めたとき」からもう始まっています。
資料を集め、テーマを決め、読み手を想定し、予算を確認し、取材に備える。どれも特別な作業ではありませんが、この5つをしている人の自分史は、不思議と読みやすく、そして感動的に仕上がります。
準備は面倒ごとではなく、むしろ楽しむ時間です。アルバムをめくって笑ったり、昔の同僚に電話をかけて懐かしさに浸ったり。そのひとつひとつが、すでに「物語」の一部なのです。
代筆はプロの技術。そこに依頼者の準備が加われば、完成する一冊は唯一無二の宝物になります。
「長編原稿プラス」は、代筆専門「さくら作文研究所」の運営する原稿作成代行サービスです。「本を出したい」「自分を表現したい」――その想いは万人の根底にあるもの。小説のゴーストライティングを専業としていた時代から培った『原稿力』を駆使し、原稿作成と自費出版のサポートで、みなさまの夢の実現に力を尽くします。
代筆家。 鹿児島出身。広告制作を経て文章クリエイティブに携わり、2010年に小説代筆専門「小説代理原稿連合会」を設立。2014年にフリーランスとなり、「さくら作文研究所」をはじめ数々の代筆ブランドを運営する。手紙・スピーチなど短文原稿の他、小説・自分史等の長編原稿を手掛け、400件以上の受注実績を持つ。著書に『読ませる個人史のつくりかた』『創作系ゴーストライターのつくりかた』『落語随想 八世可楽解釈』などがある。
ゴーストライティングのために書影をご紹介できないのが残念でなりません。
多くのお客様が個人出版(ハードカバー/ソフトカバー)されています。印刷までご依頼いただいたお客様には、もれなく電子書籍化もいたしております。10ページほどの配布用小冊子(販促小説)から、ハードカバー豪華装丁の社史作成まで様々です。お気軽にご相談ください。
母の自分史をつくる
自分史作成インタビュー②
創業記・会社史をつくりたい
自分史作成インタビュー③
※ グループサイト「さくら作文研究所」の作成動画です。