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人の心に深く入り、言葉にならないものを引き出す——それが代筆という仕事の本質です。このページでは、さくら文研が実際に手がけた事例をもとに、「代筆」という目に見えない仕事の舞台裏をご紹介します。単なる文章作成ではない、依頼者との対話と読解の技術を知れば、きっと代筆という行為の意味が変わって見えるはずです。
◆このページのコンテンツ
代筆の依頼には、大きく分けて二種類あります。一つは「文章にする材料が揃っているが、形にできない」というタイプ。もう一つは「そもそも何を書いたらいいのかがわからない」というケースです。後者はとても多く、むしろ主流と言っていいでしょう。
たとえば、ある若い経営者が企業案内文の依頼をくださいました。口数の少ない方で、ヒアリングも最初は進みません。ですが雑談を交えて話していると、彼の語る「嫌だった上司の話」に、企業理念の核があることに気づいたのです。
「部下を守る会社をつくりたい」「自分がされたくなかったことは絶対にしない」。彼が最も強く抱いていた「反発」こそが、文章にすべき思想だったのです。
私たちが扱う情報の多くは断片的です。話が飛んだり、途中で矛盾したり、話しながら依頼者自身も考えを整理していく場合が多くあります。その混乱の中から、言いたかった本質だけを拾い上げるのがプロの技です。
箇条書きのメモ、古い日記、言葉にならない感情。そういった素材の中に一筋の筋道を見出し、「この文章は、あなたの人生のこの瞬間を描いています」と言えるように形づくる。事実を並べるだけでは、依頼者の「声」にはなりません。
「これは違う」と言われることもあります。しかし、その反応すら大切です。否定の言葉の中に、「では何が言いたいのか」が初めて浮かび上がることもあるからです。
初稿を出した時点で終わりではありません。むしろそこからが、依頼者と「共著者」になる時間です。表現のズレ、言葉遣いの違和感、それらをすり合わせながら、「これは自分の言葉だ」と思ってもらえる文章に磨き上げていきます。
ある高齢の女性は、親族への手紙を依頼されました。初稿を読んで、「きれいだけど、私の気持ちじゃないの」とおっしゃったのです。そこから二週間、何度もやり取りを重ね、語尾や接続詞、あえての言いよどみまで再現しました。最終的に「このまま読み上げたい」と涙を浮かべてくださった瞬間を、今も忘れられません。
代筆とは、書くことではなく「寄り添うこと」です。
私たちが書いた原稿が、誰かに読まれるとき。そこではじめて、代筆の意味が生まれます。本人が言えなかった言葉が、誰かに届く。その連鎖のなかで、依頼者も読者も、新しい「対話」をはじめることができるのです。
特に自伝や手紙など、個人的な文章であればあるほど、代筆には大きな責任が伴います。どこまで書くのか、どのような口調にするか、誰に読まれるのか。完成原稿は、読み手の心に向けた「装丁のない贈り物」です。
書くことが苦手な人も、忙しい人も、心に引っかかりを抱えた人も——代筆という選択肢があることで、「言葉を持てる」可能性がひらかれます。それが、私たちさくら文研の願いです。
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