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主なライターの区分については、前のコラム「本当に信頼できるライターとは?」でご紹介した通りです。
専門性や業務形態で分かれていることから、基本的にはデザイナーやプログラマーなど他の専門職と変わりはないことがお分かりいただけだと思います。
ただ、ゴーストライターについては、いまいちわかりづらいところがありますよね?
コピーライターやウェブライターのように職業名に専門性を謳っておらず、それどころかゴーストなんてついていると、お化けについて書く専門家かと勘違いされそうです。
ちなみに、欧米ではシャドーライターと呼びならわすことがあり、文章の影武者というニュアンスがはっきりわかり、この呼び方の方が適切な感じがします。
どんな人間がゴーストライターになるのか――現実的には新聞社や出版社、広告代理店など、文章周りにいた人がなるのが典型的なパターンだと思います。かくいう私も広告業界出身。
今回は、いつものようなライティングお役立ちコラムをお休みし、一体どんな人間がどんなプロセスを経てゴーストライターになったのか、さくら文研代表ライターの私自身を例にとってお話ししたいと思います。
◆このページのコンテンツ
物心ついた頃から漫画を描いたりお話を作ったりするのが好きでした。
もっとも、そういう遊びはどんな子供でもやっていることです。
私の場合、高校生くらいまでその趣味が続き、自分で作った漫画やストーリーをプログラムでゲーム化するなど、普通よりくどいくらいやった記憶があります(おかげで受験に失敗しましたが)。
高校2年生の時です。学校の昼休み、男子の友人が私のところに寄ってきて、こう言います。
「お前、同じ校区の〇〇さん、知り合いか?」
うなずくと彼は頬を染めて
「ラブレターを渡してくれよ」
「いいよ。で、あるの?」
「実はまだ書いてない」
「出来上がったら教えてよ。渡してあげるから。いつ頃になりそう? 1週間後? 10日後?」
「いや、今日で決着をつけたい」
その男子は青春真っ盛り。恋い焦がれて苦しいので、1日も早くラブレターを渡して、OKをもらうなり振られるなり、1秒でも早く楽になりたい、とのこと。
放課後までに書くと言うので待っていたのですが、結局出来上がらず、私が焦れて帰ろうとすると「待ってくれ」と袖をつかみます。
私はとにかく早く帰りたかったので(視たいTVでもあったのでしょう)、当人の想いを聞いて、代わりに書いてあげました。
何の気なしに手伝ったのですが、今に思えば、あれが最初のゴーストライティング。
その夕方、私はバス停で部活帰りの〇〇さんが来るのを見図らい、「××くんから」とラブレターを渡しました。
不思議なもので、惚れてるのは××のはずなのに、えらく緊張した記憶があります。
社会人になっていくつかの職業を経験し、広告業に流れつきました。
その会社はコピーライティングを中心に据えた企画制作がモットーで、代表はコピーライター。
印象に残っている彼の言葉があります。
「広告はゴーストライターだ」
確かに、新聞広告もテレビコマーシャルも、一見するとその企業が発している言葉に見えますが、実際はプロの広告制作者が知恵を絞って作っています。彼らは裏方であり、影であり、表に出て名を名乗ることはありません。
広告制作者の仕事は、自分の好きなものや褒めたい商品を宣伝するのではなく、クライアントの想いを代弁することです。クライアントの商品やサービスが引き立つように表現し、消費者の心に響くように伝えます。
それってまさにゴーストライター。
この気づきが、私が自分のことをゴーストワーカーだと自覚した最初です。
テキスト専門のゴーストライターとして旗揚げしたのは2010年です。小説専門代筆で、前述の広告業の副業として始めました。
のちに独立してさくら作文研究所を開設します。小説だけでなく自分史やその他の長編原稿、お手紙・スピーチ・レポートなどの短文原稿も取り扱うようになりました。
基本的に単身で業務を行っていますが、多忙な場合や特別な注文がある場合、本職作家やプロのデザイナーと協力して作業することもあります。
事務所は鹿児島市で、ご要望に応じて全国くまなく出張しています。
ライターというと、もう少しじっとしてられる仕事かなと思ったのですが、現実にはかなり走り回っていますね。
新型コロナウィルスの感染拡大時は、経営的に苦しいこともありました。
そんな中「コロナでお家賃が払えない」「親戚からお金を借りたい」といったお手紙代筆のご依頼があると、本当にみんな苦しいんだなぁと涙を誘われたこともありました。
2025年現在、コロナは収束しましたが、エネルギーコスト高騰やアメリカの関税政策、失われた30年から脱却するための財政改革への展望など、経営環境としては相変わらず暗さが漂っています。
それでも成仏しないよう(成仏したらゴーストじゃなくなってしまうので)毎日頑張っているところです。
自分の結婚式で、妻が父親に読んだ「感謝の手紙」です。
ご存知ですよね? 結婚式のクライマックスあたりに位置づけされるアレです。披露宴も最後あたり、新婦が新郎にケーキを食べさせて(ケーキバイト)、ブーケトスで会場に一体感が出て、そのあと式場内が暗転し、高砂前に新郎新婦と新婦父母が相対する。そこで新婦が「パパ、ありがとう」と用意した手紙をおもむろに読みだす…満場の涙を絞り出すものの、よくよく考えてみればあまり日本的ではない一連の儀式、その掉尾を飾るセレモニーです。
まだ広告業にいた頃のことです。
結婚式の日取りはずいぶん前に決まっていましたが、妻は「文章が苦手で面倒」と言って、なかなか手紙を書こうとしません。
そのまま迎えた結婚式の前晩、急に「書いてよ」とのご命令。慌てて書いて読ませたところ、唇をとがらせて「ベタだねえ」と一言。ギリギリになって人に頼んどいて、しゃらくせえと思いました。
翌日、披露宴もたけなわ、ピンスポットを浴びた妻は、その手紙を読みながら涙をさめざめと流していました。
お義父さんも涙、観衆も涙。
唖然とする私……。
「ぼくのカミさん、すごい」って思いましたよ!
以上、つらつらと自分語りをさせていただきました。
最後までご通読くださったあなたに感謝します。
さくら文研代表について「もう少し知ってあげてもいいよ」という方は、以下のリンク先にお進みください。
追記:あのう…トップに据えたイメージ画像の男性、私にしては面相がよろしすぎます。実際はもう少し淡白な中年男性です。あれは生成AIが媚びたんです。ご了承ください。
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