AIがAIを潰す？生成チェックと人間らしい文章の時代

AIが生み出した文章を、別のAIが検出し弾く──。
まるで映画にありそうなパラドックスが、現実になりつつあります。
Google検索、大学の試験、採用現場。あらゆる場所で「これは人が書いたものか？」という審査が行われるようになりました。
AIを使えば「早く」「うまく」書ける時代。しかし、その文章は、本当に通用するのでしょうか。
このページでは、AI検出技術の進化と、それに対抗する“人間らしい”文章の必要性について掘り下げます。
ラストには【AIに直撃インタビュー】も収録。AI自身の「本音」を引き出します。

◆このページのコンテンツ

GoogleがAI記事を排除し始めた

Googleは「品質評価者ガイドライン」で、AI生成を含む独創性・労力・付加価値のないコンテンツを最低評価の対象とすると明記しました。
その根拠は、「価値のないコンテンツの氾濫を防ぐため」。
といっても、そんな風に生成されるWEBページの数は、すでに天文学的で、毎日おびただしい数が量産されていることでしょう。おそらく、AIが作成したページは、サプライヤのAIが読み取り、“価値なし”と断定し、排除されるはず。
つまり、「AIがAIを排除する」構図です。

これにより、企業のSEO担当者やライターの間では、一気に“生成AI頼み”の戦略にブレーキがかかりました。
AIで作った文章をそのままWEBに掲載するリスクは高まる一方です。
それでも見た目には整っている文章が量産されてしまう今、「文章の質」と「魂」はますます重要になっています。

大学では「AI回答」が不合格の理由に

ある大学では、教授が課題レポートに罠を仕込みました。
設問として出したPDFファイルに、AIにしか読み取れない文章を埋め込ませたのです。
AIにPDFを読ませて回答させると、埋め込み内容を含めた文章が作成されます。
かたや、ファイルを目視して自力で回答した学生のレポートには、その内容は書き込まれません。
つまり、教授はあらかじめ、AIを使えばバレる仕組みを盛り込んだのです。

教育現場では、「学びを代行するAI」への警戒が強まっています。
AI使用が即失格という学校も存在し、学生たちは「バレないように」ではなく、「信頼されるように」文章を書く必要に迫られています。

採用で志望動機をAI検出する企業

履歴書、エントリーシート、志望動機──。
これまで「人が書いているはず」とされていたこれらの書類にも、生成AIの影が忍び寄っています。
そのため、企業はオンラインの「生成AIテキストチェッカー」を導入し始めました。
AI判定により、人が書いたかAIが書いたかをチェックし、「機械っぽい」とみなされれば減点対象になることも。

とくに志望動機の文章は、「読み手に届くか」「個人の体験が感じられるか」が重視されます。
いま企業が求めているのは、“表現力”よりも“人間味”です。
つまり、きれいにまとまった言葉ではなく、心が動いた瞬間を描いた“本物の物語”が求められているのです。

【AIに直撃インタビュー】“人間らしさ”とは何か

ここで、ある対話型AIに意見を求めました。以下は、対話の一部を編集した内容です。

質問：なぜAIが書いた文章はバレるのでしょうか？
「文体の一貫性、語彙のパターン、表現の曖昧さが、AI特有の癖として現れるためです」

質問：人間らしい文章とは何ですか？
「論理だけでなく感情の揺れ、余白、失敗、言いよどみを含む文章。そういった“不完全さ”が、人間らしさとして認識されます」

質問：AI時代において、“書く意味”は何ですか？
「AIは模倣はできますが、経験そのものは持ちません。人間が書くことで、“経験から来た真実”が文章に宿るのです」

AIが語る「不完全さ」こそ、人の証明。
その言葉に、皮肉ではなく、一種の真理を感じます。
代筆という営みも、この「不完全さを美しく届ける」技術のひとつです。

＊

──とまあ、AIにインタビューした回答ですから、質問のたびに異なる言葉がかえってくるでしょうし、プロンプト次第で否定も肯定も自由自在です。

AIにできること、できないこと、やらせるべきこと、やらせてはならない（ゆくゆく人間のメリットにならない）こと……AIの話題がトレンドとなっていくらか時間が経ち、ようやく少し落ち着いて、現実的な危惧について諸相を深めることができるようになってきた気がします。

最終的に「生成」は、人間の手に帰ってくるのではないでしょうか。そして、AIにまかされるのは、人間の手業で追えない精度――人工衛星の座標軸や難しいオペのレーザー照射など――、つまり「調整」に限られてくるのではないかなと思うこの頃です。