販促小説代筆ご依頼者様インタビュー
林川様(仮名)の場合
以下のインタビュー内容はメインサイト「さくら作文研究所」から転載しています。
ジャンル | コンサルティング販促小説 |
規模 | A5サイズ70ページ 2巻 |
執筆期間 | 各3か月程度 |
備考 | 無線綴じ印刷 |
問1/小説という形で自社のサービスを伝えようと思ったきっかけは何でしたか?
林川様:
飲食店経営のコンサルを行う弊社は、新型コロナウイルス感染拡大時にテイクアウトとデリバリーの需要高を見込み、新サービスとしてその運営指導をはじめることにしました。売り込み先は新規開業者よりもコロナの集客減で頭を悩ませる店舗経営者に設定。いまあるキッチンやレシピを転用することで、早ければ一週間以内にスタートできるからです。
わが社としても数十件のお店とのコンサル契約を継続中で、それらの方にご案内すれば、スムースにビジネス化できるであろうことを想定できましたし、中食や宅配に関するノウハウも、それなりに集積がありました。
初動時点でやるべきことは、「このサービスを広めること」。契約先に案内チラシを郵送してみたのですが、反応が芳しくありません。
何が問題だったのでしょうか。古くからご契約いただいている個人店さんに忌憚ないご意見を求めたところ、こんな言葉をいただきました。
「飲食がテイクアウトやデリバリーをやろうとするのは、今の状況下ではあたりまえ。みなが欲しているのは、それを具体的にどんな流れでやるべきなのか、どんなピンチが予想されて、そんなときはどういう克服法があるのかを知りたいんだ」
意見を社に持ち帰り、全体会議を開いて販促方法を検討しました。案内動画を作ってはどうかという意見がありましたが、予算と時間がかかります。契約先に若い店主が多かったことから、若者向けのコンテンツに便乗してはどうかという話になり、「漫画にしよう」「SNSを使おう」といった発案が並んだ末、誰かが「小説にしてはどうでしょう?」と提案しました。
広告作成の禁忌の一つ「文字がぎっしりつまっていること」。ちょっとでも多めに文字を詰め込んだチラシは、読まずに捨てられます。忙しい店舗運営者にそんなものをのんびり読んでいる時間はありません。字ばかりの小説なんて、もってのほか。それは販促物制作上の常識でした。
しかし、若いスタッフを中心に肯定的な意見が続出しました。
今の若者は「活字離れ」と言われた氷河期世代と違い、ライトノベルと呼ばれる軽文学に親しんでいるので文字媒体好きは多い。デジタル文化に長く接し、メールを読んだり書いたりしているので、言葉のコミュニケーションに積極的。販促手法としても単なるチラシが来るよりは、ちゃんと綴じた本が届けられたら珍しいのでしっかり読む。店主側は目下集客減で忙しくないので目を通す時間はある。表紙のイラストをしっかりつくりこめばきっと掴める――等々。
私はアイデアの裏付け以上に、若いスタッフが一丸となって盛り上がっていることをうれしく思いました。彼らの熱意にこたえ、任せて形にさせてみよう。わが社もコロナの影響で停滞気味でしたから、志を一つにできるテーマを得ることはモチベーションアップにつながると思ったのです。
問2/なぜ代筆・外注という手段を選ばれたのでしょうか?
林川様:
単純に、社内に文章を得意とする人間がいなかったからです。ライトノベルを嗜好する若者世代とはいえ、読む方専門で、自分で作るのはまた別のようです。ストーリーについては社内募集をかけたのですが、社の事業に対して客観的になれず、肯定的でありきたりな発想しか得られませんでした。
さくらライティングさんはインターネット上で見つけました。小説作成の意図を伝え、見積もりをお願いしました。すると見積もりのほかに文体や構成のご提案をいただきました。構成案では架空の飲食店の浮沈が物語のヤマやハッピーエンドと重ねて描かれており、その時点で「先を読んでみたい」と思ったほど。社内で諮り正式に発注しました。また、ライターさんご自身が、飲食店経営について短期間ながらご経験があるとのことで、その点も決め手の一つとなりました。
問3/実際のやりとりで、印象に残った点や良かった点はありましたか?
林川様:
読者層を意識して文体を維持しながら、飲食店コンサルという一種独特な広がりを持つ世界を描いていただくにあたり、かなりのすり合わせをしました。登場人物に役割を与え、「反対者」「協調者」「ライバル店」「消費者の代弁者」「行政」「励まし役(ヒロイン)」といった設定を立てた時は、モノづくりの面白さを感じたものです。
企画構成が完成して執筆開始後も、わが社からの追加の要望を取り入れていただくなど、柔軟な対応をしていただきました。限られた予算のためページ数は少なめにお願いしましたが、それでも一編の読み応えのある作品にしていただき、さすがだなと思いました。
最終的に、さくらライティングさんの地元である鹿児島市の印刷所で印刷・製本をお願いし、ご納品いただきました。
問4/社内やお客様からの反応はいかがでしたか?
林川様:
納品後、すぐに契約先に発送しました。さっそくいくつかの店舗からコンサル依頼があり、スタッフを派遣しました。ほかにも「面白いものをつくったね」「おたくにこういうものを作る柔軟性があることに感心した」といったご意見をいただき、新しい企業イメージが生まれたように思います。
驚いたことに発送していない店舗さんからも問い合わせが来ました。飲食店同士のお付き合いの中でわが社の小説が回覧されたようです。これは大きな発見でした。DMチラシはまず間違いなく回覧されません。しかし本になると、それが有意義でおもしろければ、親しい人物に「読んでみたら?」と勧めてもらえるのです。
問5/小説にしたことで、予想以上の効果があったと感じた点はありますか?
林川様:
ながらく「飲食コンサル」の看板を掲げてやってきたことから、私を含めた社内外すべての人々が「あの会社=コンサル」と、固定したイメージを持っていました。しかし、業務こそ専門性はあるものの、それを伝えたり実現したりする道筋は無限にあるということを、小説作成を通じて知らされた思いです。
社内では、プロジェクトに関与した若手を中心に連帯感が醸成され、愛社精神が生まれたように思います。ベテラン社員も「いつまでも若手」と思うのを止め、立派な戦力としてみるようになりました。小説づくりは社内の連携向上に間違いなく寄与しています。
半年後に続編第2巻を作成しました。さくらライティングさんのお力を借りました。こちらも好評で、ご契約増につながっていますし、社内においても「小説型コンテンツはわが社の一つのウェポン」という意識が根付いています。さくらライティングさんには悪いかもしれませんが、いずれは社内に「小説コンテンツ事業部」を設立して内作可能になるかもしれません。
問6/自社の価値や理念を「物語化」することの意義について、どう感じましたか?
林川様:
私たちも、コンサルティング業務を通じて言葉によるコミュニケーションの重要性は承知していたつもりです。しかし、空想された言葉、抽象化された世界、夢想させるストーリーといったものを一つに編み上げてフィクションに落とし込み、エンターテインメントとして形にする技法には通じていませんでした。
さくらライティングさんの言うには「いろんな条件が一致しないと、なかなかうまくいかない」とのことでしたが、価値観や理念を物語化するという行為そのものは、あらゆる事業者が一度は通過すべき思考実験ではないかと思います。なぜなら、私たちが日々を糊するビジネスも、お客様に提供するサービスも、現実の便益や夢の生活が結晶化した「物語」という想像の産物からはじまることに変わりはないからです。
問7/同じような形で発信を考えている企業へのメッセージをお願いします。
林川様:
特に広告に悩んでいる方に伝えたいことは、「チラシは消費される。コンテンツは資産化する」ということです。
資本主義社会の広告手法は、大量消費を促す一方で、自らも消費されていきます。好況下はそれもいいでしょう。しかし景気が横一線だったり不景気化している局面では、広告を打っても物は売れず、それどころか広告ばかりが不毛に消費され、会社は疲弊の一途です。チラシが情報の単なる羅列だとすると、コンテンツは情報を総合し、解釈を加えます。長期使用でき、解釈変更すれば新しい局面でも活用可能です。コストの時代からこそ、賢く検討すべきです。
さくらライティングさんは、広告業界でのキャリアがあり、文章専業としながら、親身な洞察でオリジナルの意見を提案してくれます。ある意味さくらライティングさんこそ、コンサルティング的だと思いました。