さくら文研代筆カルテ
さくら文研には様々なゴーストライティングのご依頼があります。そのうちいくつかを「さくら文研代筆カルテ」として匿名でご紹介しましょう。
4)小説の冒頭だけ代筆
ひと昔前まで「若者の活字離れが〜」なんてことが盛んに言われていましたが、2010年代の現在は空前の小説ブームではないでしょうか。若者の間でライトノベルが流行し、波及するように一般文芸も売れ行き好調のようです。それだけじゃありません。アマチュアの書き手が爆発的に増えました。小説の投稿サイトが賑わっています。中には出版社に見出されて書籍化された、なんて例も。ゴールドラッシュならぬノベルラッシュの様相を呈していますね。
ご依頼主 | 大学生(?) |
依頼内容 | ファンタジー小説を書いているが、どうしても冒頭が上手くいかないので、そこだけ書いてほしい。 |
このご依頼主様は、特に作家を目指しているわけではありません。ただ、心の底からファンタジーが好きで、小説投稿サイトが流行する前から自分のWEBサイトを作り、キャラ設定やイラスト、ショートストーリー等を公開している方でした。
時代の流れに乗り、小説投稿サイトに掲載すべく本格的に小説執筆してみたところ、どうも思い通りに書けず……。それでも歯を食いしばり大長編を書き上げ、投稿サイトにアップしました。しかし閲覧者はみんな冒頭で読むのを止めてしまうのだそうです。
ご依頼主様はその理由を何となく分かっていました。
冒頭が、なんかこう、ダラダラしているんだよね……。
第二章から先は自信がありました。実際、我慢して冒頭・第一章を読み抜いてくれた閲覧者は、そのまま全編読了してくれたそうです。「第一章をなんとかブラッシュアップできないか」 それでさくら文研にメールを送ってみた、ということでした。
SFやファンタジーの執筆愛好家は、文章を書くこと以上に、設定(登場人物や世界観)にこだわる傾向があります。小説における冒頭・第一章は、読者のハートをしっかりつかむ展開を配置しつつ、物語世界の設定を匂わせるように説明する必要があります。いきなり説明ばかりでは読者は面白くありませんし、かといって説明ゼロでは何のことだか分かりません。冒頭はこのバランスが難しいのです。
ご依頼主様の小説は、文章そのものは流れるように書かれているものの、第一章から説明テンコモリ。これでは読者は離れてしまいます。
冒頭は作家と読者の初対面の場です。あなたは初対面で話をする時、どんな会話をしますか。そう、共通の話題を出しますよね。お天気の話、芸能人の話、ニュースの話題……共通の話題で共感すると、人はようやく次の話が出来るようになります。小説も一緒です。どんなに突飛な世界観の物語でも、作家と読者が共感できる話題があるはずです。
ご依頼は剣と魔法と悪魔の登場する異世界物語でしたが、私は冒頭をこんな風に書きました。
春のあたたかい風が、草の匂いを運んできた。
さくら文研の原稿を冒頭に据え、お客様の投稿小説にはたくさんのコメントが付いたようです。のちにその原稿はだいぶ形を変えて掲載されていました。ご依頼主様の研鑽がよく伝わってくる見事な冒頭でしたよ。
ジャンル | ファンタジー小説 |
規模 | 原稿用紙10枚 |
執筆期間 | 1週間以内 |
価格 | 25,000円以内 |
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